にこいち豆知識
2026.10.15|にこいち豆知識
「商用利用可」なら何でもOK?Webフォント・ロゴなど用途ごとに注意したいフォントのライセンス
デザイン
「このフォント、商用利用OKって書いてあったから安心」。そう思ってチラシにもサイトにも使い回していたら、実は用途的にアウトだった——フォントを扱う制作現場では、こうしたケースが起こることがあります。
問題は、「商用利用可」という5文字が、すべての使い方を保証しているわけではないという点です。印刷物に使うのはOKでも、そのフォントをWebサイトで使うには、別の許諾が必要だったり。あるいはロゴに使ってもいいけれど、そのロゴを商標登録するのは別の話。
こうした”用途ごとの線引き”を見落とすと、後から差し替えや作り直しが発生します。
この記事では、お客様のロゴ・サイト・広告を数多く手がけてきた制作会社の視点で、「商用利用可」の落とし穴を、用途別の考え方とライセンスの確認手順に整理してお伝えします。フォント一覧記事では語られない、その先の話です。
まず押さえたい「商用利用可」のよくある誤解
最初に、現場でよく見かける勘違いを3つ挙げておきます。
- 誤解その1: 「商用利用可」と書いてあれば、どんな使い方でも自由?→ 実際は印刷・Web・ロゴ・映像などで条件が分かれることがあります。
- 誤解その2: 無料フォントは規約がゆるい?→ 無料でもライセンス条件はあります。「再配布」「改変」「Webでの利用」など、用途によって細かな条件が定められていることもあります。
- 誤解その3: 一度OKなフォントは、ずっとそのままOK?→ フォントの利用規約(EULA)は改定されることがあります。以前確認した規約だけで判断せず、利用時点の最新の規約を確認することが大切です。

特にやっかいなのが、デスクトップフォントとWebフォントの違いです。パソコンにインストールしてPhotoshopやIllustratorなどで使うための「デスクトップフォント」のライセンスと、Webサイト上でフォントを表示するための「Webフォント」のライセンスは、分けて考える必要があります。
たとえばモリサワは、デスクトップフォントとWebフォントを別の利用規約として案内しています※1。
そのため、「自分のPCに入っているから、Webサイトでもそのまま使える」とは限りません。Webサイトでフォントを使用する場合は、Webでの利用が認められているかを確認することが大切です。
フォントの利用範囲を用途別に整理
「商用利用可」と一口に言っても、用途で線引きが変わります。考え方を整理したのが下の表です。
あくまで一般的な傾向ですので、最終的には必ず各フォントの規約を確認してください。
| 用途 | よくある扱い | 注意ポイント |
|---|---|---|
| 印刷物(チラシ・名刺・パンフ) | 商用利用可なら基本OKが多い | 「商用利用可」の最も基本的な範囲。まずここはクリアしやすい。 |
| 画像化したバナー・SNS投稿 | 画像として利用できるケースが多い | 画像としての利用が許可されているか確認。 |
| Webフォント埋め込み | 別ライセンスが必要なことが多い | デスクトップ用の許諾だけではNGな場合あり。Webフォント可否を個別確認。 |
| ロゴ・社名ロゴへの使用 | 使用できても、商標登録まで認められるとは限らない | 「フォントで作る」のと「それを商標として独占登録する」のは別。規約で禁止される例もある。 |
| アプリ・ゲーム・映像への組み込み | 追加ライセンスが必要なことが多い | ソフトへの埋め込みは別枠扱いが一般的。 |
| フォントファイルそのものの再配布 | 多くで制限あり/要条件確認 | オープンライセンスでも「販売単体は不可」等の条件が付くことがある。 |
ポイントは、「印刷OK」が「Webでの利用OK」や「ロゴの商標登録OK」を意味するわけではないこと。同じ「商用利用」でも、用途が変われば確認すべき条件も変わります。
制作現場ではこんな相談も
「このフォント、商用利用OKとあるので、今回のホームページにも使えますよね?」
そんなご相談を受けることがあります。
たしかに、配布元のページには「商用利用可」と書かれています。ところが、確認してみると、そのフォントでWebサイト上に文字を表示することまで許可されているとは限らないケースがありました。
チラシやバナーなど文字を画像として使用する場合と、Webサイト上でフォントを使用する場合では、確認すべきライセンスが異なることがあります。
そこでフォント使用については、制作側で配布元の利用規約を確認し、Webでの利用条件が明確になっていない場合はそのフォントをそのまま使うのではなく、Webでの利用が認められている別のフォントをご提案することにしました。
デザインの雰囲気はできるだけ変えずに、後からライセンスの問題でフォントを変更する必要がないようにするためです。
フォント選びでは「商用利用できるか」だけでなく、「今回の使い方が認められているか」まで確認することを大切にしています。

ライセンスを確認する3ステップ
では、実際にフォントを使う前に何を見ればいいのか。現場でやっている確認の流れを、3ステップに落とし込みます。
- ステップ1:配布元の公式ページで規約原本を読む。 まとめ記事や「商用OKフォント一覧」を鵜呑みにせず、必ず一次情報(配布元・メーカー公式のEULA/ライセンス文)を調べます。検索上位に出てくるまとめは古い情報のことがあります。
- ステップ2:自分の「用途」が規約のどの項目に当てはまるか確認する。 「印刷」「Webフォント」「ロゴ」「再配布」「改変」「ソフト組み込み」——自分のやりたいことが、規約のどのキーワードに該当するかを調べ、そのやりたいことが許可されているかを確認します。禁止事項にも目を通します。
- ステップ3:判断がつかなければ問い合わせる、または別フォントに切り替える。 グレーなまま納品するのが一番危険です。規約に書いていない=OK、ではありません。
規約のここを確認しています
フォントの利用規約は長く書かれていることも多く、最初からすべてを読み込もうとすると、かえって判断しづらくなることも。
私たちがフォントの利用条件を確認するときは、まず「今回、どんな使い方をするのか」を整理してから、規約の中で関係する項目を確認します。
たとえばWebサイト制作で使用する場合は、Webでの利用が認められているか、Webフォントとして使用する場合に別途ライセンスが必要ではないか、といった点を確認します。
ロゴ制作に使用する場合は、ロゴへの利用が認められているかに加えて、商標登録などに制限がないかも確認します。

この段階で「条件がよく分からない」「今回の使い方が規約上どう扱われるのか判断できない」という場合は、無理にそのフォントを使い続けません。
特に、Webサイト全体で使うWebフォントや、長く使う企業ロゴなど、あとから変更するのが難しいものについては、利用条件が明確なフォントを選ぶことを優先しています。
場合によっては、無料フォントにこだわらず、利用条件が明確な有料フォントへ切り替えることもあります。
制作時点では少し費用がかかっても、納品後に「この使い方はライセンス上問題ないだろうか」と悩んだり、後からフォントを変更したりするリスクを減らせるためです。
フォント選びでは、価格だけでなく、「安心してその用途で使い続けられるか」まで含めて判断することが大切だと考えています。
ライセンス条件が明確な「SIL OFL」という選択肢
「毎回フォントごとの規約を確認するのは大変」という場合、OFLのようにライセンス条件が明確に公開されているフォントを選ぶ方法もあります。
Google Fontsなどで広く採用されているSIL Open Font License(OFL)は、フォントを印刷物やロゴ、Webサイトなどの制作に利用できるオープンライセンスです。源ノ角ゴシック(Source Han Sans)やNoto Sans JPもOFL 1.1で公開されており、個人・商用を問わず利用できます※2。
ただし、オープンライセンスだからといって、すべての扱いが自由というわけではありません。代表的な条件として、次のようなものがあります。
- フォント単体での販売は不可: OFLでは、フォントそのものを単独で販売することは認められていません。一方、ソフトウェアなどにフォントを同梱して提供・販売することは認められています。
- 改変したフォントには条件がある: フォントを改変して配布する場合は、ライセンスの条件に従う必要があります。特に「Reserved Font Name(予約フォント名)」が指定されている場合、改変版ではその名前を使用できません。
- ロゴの商標登録は別の話: OFLのフォントを使ってロゴを作ること自体は認められています。ただし、そのロゴを商標登録できるかどうかは、フォントのライセンスとは別に確認する必要があります。
もちろん、有料フォントでも利用条件の確認は必要です。
たとえばモリサワでは、各製品のエンドユーザライセンス契約に基づいて利用範囲が定められています。
タイプバンクフォントについては、ロゴデザインへの使用を認める一方で、作成したロゴマークの商標登録・意匠登録はできないと案内されています※1。
「商用利用できるフォントだから、ロゴに使って商標登録もできる」とは限らないことが分かります。
※1 Morisawa Fonts デスクトップフォント エンドユーザーライセンス契約書、Morisawa Fonts Webフォント エンドユーザーライセンス契約書
※2 各フォントのライセンスは、それぞれの公式リポジトリおよび配信ページにて SIL Open Font License (OFL 1.1) として公開されています。
・源ノ角ゴシック(Source Han Sans):Adobe公式 GitHub LICENSE.txt
・Noto Sans JP:Google Fonts 公式ライセンスページ
まとめ:迷ったら「用途」で立ち止まる
「商用利用可」は便利な言葉ですが、それだけでは答えになりません。大事なのは、その「商用利用」がどのような用途を指しているのかを確認することです。
印刷物に使うのか、Webサイトで使うのか、ロゴに使うのか。さらに、そのロゴを商標登録するのか。用途が変われば、確認すべきライセンスの条件も変わります。
迷ったときは、「商用利用可」という一言だけで判断せず、配布元の公式サイトやライセンス原文を確認してみましょう。利用する前に一度立ち止まって確認することが、後からの差し替えや作り直しなどのトラブルを避けることにつながります。
にこいちでは、お客様のサイト・ロゴ・広告制作にあたって、デザインだけでなく、使用するフォントのライセンスも確認したうえでご提案しています。
「このフォント、うちの使い方で大丈夫かな?」という段階のご相談でも構いません。安心して長く使えるデザインをつくるために、ぜひお気軽にご相談ください。

盛岡でホームページ制作・
Web企画作成なら
にこいちにお任せください!
あなたが普段使っているAIに、にこいちのことを相談できます